ここ数年、生命保険業界も大きく変わりました。特に大きな変化の一つとして、誰でも簡単に、出かけることなくネットで生命保険の契約が可能になった事があげられます。これは数年前と比べると画期的なことです。
CM等を見ていると、芸人さんが登場し「保険を見直そうと思う」と言いながら、30歳男性で500万円の死亡保障だったら掛け金はいくらと短い時間で保険を選んでいますね。
そしてそのままスマホで契約をする事ができます。
以前は、保険を選ぶときには保険のセールスの方に頼んで計算してもらうしか方法がなかったので、好きな時間にスマホで計算しそのまま契約できる、とても便利な時代になりました。
目的と必要サイズ
ただ、確かに契約は簡単にできるようになりましたが、これで誰でも気軽に生命保険を選ぶ事が出来るようになるのか?というと少し違う気がします。保険の契約手続きは簡単にできますが、肝心のどのような保険を選んだらよいのか?という点については、簡単に判断しにくい状況は以前と変わっていないからです。
保険に限らずですが、買い物をするときには、「何故それを買うのか」という目的と、必要なサイズを測るための自分の「ものさし」が必要となります。
例えば、マラソンをするために靴を買うというケースで目的とサイズを考えてみます。
目的はマラソンなので、マラソンシューズを選びますね。革靴を選ぶ人はいないと思います。
それでは必要サイズはなにか?というと自身の足のサイズですよね。
自動車を買う時もそうです。軽自動車の購入を検討しているときに、営業マンから「今日はマイクロバスが安いですよ」と声をかけられて心がときめく人はいないと思います。
目的と必要サイズが自分でわかっているので、靴や自動車は自分で選ぶことができるし、納得感がある買い物ができますよね。
自分のための生命保険
それでは、生命保険はどうでしょう?生命保険の「ものさし」を持っていますか?靴や自動車と同じで、生命保険用の「ものさし」で、目的と必要サイズを測る事で、自分のための生命保険を自分で選ぶことができるはずです。
ところで、生命保険を契約する際の「目的」と「必要サイズ」とはなんでしょうか?
「目的」は簡単ですよね。もし万が一自身が亡くなってしまった時、遺族のための生活資金を残す事です。
それでは「必要サイズ」はどうでしょう?
それは、簡単に言うと遺族が生活に困らないための生活資金の金額です。
では、その金額はいったいいくらなのでしょうか?足のサイズは簡単に測れますが、生命保険の必要サイズはすぐにはわかりません。
遺族が今まで通り、あるいは今描いている理想の未来の通り生活するために必要とする資金、これが必要サイズです。このサイズを測り、その資金を準備しておけば安心ですよね。
生命保険の必要サイズを確認するために考える主な費用は次の通りです。
- 家族の生活費:食費等の生活費・住居費等・配偶者の老後の生活費等
- お子さんの費用:理想の教育計画に基づく教育費・結婚費用等
- その他費用:葬儀費用・相続費用等
- 遺族の収入:配偶者の収入・年金・遺族年金等
必要な費用から遺族の収入を引いた金額が、生命保険の「必要サイズ」と言えます。
「必要サイズ」を測る方法としては、自身や家族の今後の人生を思い描いてみるライフプラン設計が一番効果的です。普通に生きていくうえでの今後の人生のイベントや、そのために必要な資金等を計算するのと同時に、もし万が一亡くなってしまった場合でも、ライフプランで描いた家族の理想の生活を実現するための資金も確認できます。
理想的な「自分のための生命保険」を選ぶ順序
自分のための生命保険を選ぶために最も大事なのは、順序を間違えないという事、保険会社や保険商品選びからスタートしないという事です。
まず、取り掛かるのは、「ものさし」を作り、自分自身で「カバーすべきリスクとは何か?」「いくら必要」「いつまで必要」を把握する事です。
ライフプランをもとに作った「ものさし」で測れば、必要な保険内容が手に取るようにわかります。ライフプランは、自身で入力し計算できるサイトもありますし、身近の信頼できるFPさん等に聞けば一緒に計算もしてくれるはずです。
保険商品や保険会社選びはこの後です。自分のための「ものさし」に合致した保険を選びます。この段階になると、例えばCMで提案されている保険の内容が自身の求めているものと合致しているかどうかの判断ができるようになるので、「自分のための生命保険」を自身で選ぶことが可能となります。
まとめ
生命保険は靴や自動車等と同じ買い物です。「生命保険は難しい」と言われる方も多いですが、必要な買い物は、自分自身で選んで購入する事で納得のいく買い物となるのです。
スマホで契約できる生命保険は大変便利です。また、スマホでは契約できないにしても、世の中には無数の保険商品が存在します。選択肢が広がったからこそ、「自分のための生命保険」用の「ものさし」を活用し、みなさん自身が納得のいく買い物をされることを願っております。
栗原久人
「笑顔相続サロン®静岡」代表
「FP事務所 LP想暖や」代表
「保険代理店 有限会社シー・フィールド」代表取締役
上級相続診断士・終活カウンセラー・ファイナンシャルプランナー(AFP)生前整理カウンセラー・住宅ローンアドバイザー
ファイナンシャルプランナー歴・保険代理店経営歴共に20年、ライフプランや家計の見直し等の相談件数は2000件以上。
2019年笑顔相続サロン®静岡を開設 特に相続診断士×ファイナンシャルプランナー×終活カウンセラーの要素を活かした、終活+生前+相続のトータル対策を得意としている。